平成 維摩居士伝

 

植木先生のお話

まずは、植木先生のご紹介

 

■植木雅俊(うえき・まさとし);
 仏教研究家(東方学院)、1951年長崎県生まれ。九州大学大学院理学研究科修士課程修了(理学修士)。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退(文学修士)。91年から東方学院で中村元博士の下でインド思想・仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。学位請求論文「仏教におけるジェンダー平等の研究― 『法華経』に至るインド仏教からの考察」でお茶の水女子大学から人文科学博士の学位を授与される(男性では初めて)。日本ペンクラブ会員、日本印度学仏教学会会員、比較思想学会会員。著
書に『男性原理と女性原理』(中外日報社)、『仏教のなかの男女観』(博士論文、岩波書店)、『梵漢和対照・現代語訳 法華経』上・下巻(岩波書店、毎日出版文化賞受賞)、Gender Equality in Buddhism(Peter lang Publ. Inc, New York)など。

 

 

ひょんな縁から、先生の講演会を主催することになり、
じっくりお話を聞く機会を得ました。

 

ひろさちやさんは、哲学者ですが、
植木先生は、仏教研究家です。

 

 

よだれをぬぐって参加した、植木先生のお話です。
いやー、特異な観点で面白いものでした。

 

仏教哲学を標榜せず、仏教研究家とされている理由もよくわかりました。

 

法華経をサンスクリット原典から、訳されて、漢訳仏典からの訳の違いを書かれています。
法華経といいますと、般若心経と並ぶ、有名な大乗経典です。

 

日本に伝わったときは、韓国経由で、漢訳仏典が伎楽とともに伝わりました。

 

聖徳太子の時代です。

 

太子は、鋭くその精神を見抜いたようで、政治に利用したわけですが、利用というより、世を太平に統べるための崇高な哲学であると、考えたのだと思います。

 

十七条憲法

 

一にいう。和をなによりも大切なものとし、いさかいをおこさぬことを根本としなさい。人はグループをつくりたがり、悟りきった人格者は少ない。それだから、君主や父親のいうことにしたがわなかったり、近隣の人たちともうまくいかない。しかし上の者も下の者も協調・親睦(しんぼく)の気持ちをもって論議するなら、おのずからものごとの道理にかない、どんなことも成就(じょうじゅ)するものだ。

 

二にいう。あつく三宝(仏教)を信奉しなさい。3つの宝とは仏・法理・僧侶のことである。それは生命(いのち)ある者の最後のよりどころであり、すべての国の究極の規範である。どんな世の中でも、いかなる人でも、この法理をとうとばないことがあろうか。人ではなはだしくわるい者は少ない。よく教えるならば正道にしたがうものだ。ただ、それには仏の教えに依拠しなければ、何によってまがった心をただせるだろうか。

 

 

このあたりに、日本の根本的な部分がふくまれているようです。

 

たとえば、熊野権現とは、実は阿弥陀如来であるわけで、厳密に神道と仏教を分けられない部分もあります。和を持って仏法僧を敬い、神道の神は、実は、仏と同じ存在であるという、解釈をしたのでした。

 

神道は、敵対せずしなやかに、仏教と融和していくのでした。

 

これは、インドでも同様で、身近なところで帝釈天という仏教の神様(植木先生の言う人間に近い)は、バラモン教・ヒンドゥー教・ゾロアスター教にでてくる武神のインドラです。

 

植木先生が言っていた山、須弥山という高さが八万由旬(ゆじゆん)(一由旬は40里=1280万KM)、そこの頂上が天界でして、?利天といいます。地居天の、最高位です。

 

帝釈天は、?利天の主として、仏法を守る神となっています。

 

ちょっと、考えたところでも、仏教には
面白要素が満載です。

 

個人的には、維摩経が、その中でも、もっとも面白要素満載だと思っていましたが、全くサンスクリット原典が発見されずにいたのです。

 

1999年に、ダライラマの書斎から、発見されたものの
まだ正確な訳は一般には出されていませんでした。
植木先生が、それを手に入れて、今年出版ということで、よだれが止まらないわけです。

 

お釈迦様が説いた、「縁起」というものの、奥深さを知ったのでした。

 

ps.お釈迦様という言い方ですが、
本名は、「ゴータマ・シッダールダ」という方で、
コーサラ国の少数民族、「シャーキャ族」の王子として
生まれました。

 

仏典では、釈迦牟尼世尊、釈迦如来、等々書かれます。

 

仏教界では、釈迦牟尼世尊という言い方が多く、
意味は、「シャーキャ族の聖人にして、世の中が尊敬すべき仏」という意味で、短く、「釈尊」ということが多いですね。

 

植木先生も、「釈尊」とおっしゃってました。

 

 


結婚